3rd

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 遡ることXXX年前、世界中の各所で巻き起こった勝者の居ない戦いは、膨らみ切った風船が割れるように、ある日突然幕を下ろした。 唐突に、何の前触れもなく終わった戦いから、時が流れて今―― 小さな火種が大きな炎になろうと、くすぶっているらしい。 「読んでも全然分かんないんだけど」  零と寮に戻り、部屋にあった私の端末には膨大な量の資料が送られてきていた。  制服と一緒に個人に配布されている端末は、主に座学の時に使う。 まだ授業も始まっていないのに容量が足りなくなりそうな勢いで送られてきたそれは、今日中に目を通さなければならないものだけでも軽く十項目以上。 本みたいに一目でどこまで読んで、残りがどのくらいあるのか判らない分、永遠に読み終わらない気もしてくる。
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