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「あと?」
「誰より、月が知ってるよ」
ダラりと座っていた椅子から立ち上がり、私の机の上にあった結晶を手に取る。
卵と同じくらいのそれは相変わらず中心部に赤い揺らめきを映し、触るとほんのりと温かい。
暖を取るかのように、手のひらに包み込む。
「教えてくれるかなぁ? 私の言うこと、全く聞こうとしないし」
「――そのうち分かるって」
「そうかな? 仲良くなれる気がしないよ」
攻撃的な性格のみならず、実際に攻撃してくる。それにあの見た目。鏡を見ているかのように私そっくりで、見ていて複雑。
自分の怒った時の表情を好きになるのも難しいし、まずは好きにならないと仲良くも出来ないと思うんだけど。
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