2人が本棚に入れています
本棚に追加
むにっと重なった唇に胸のところがほわっと暖かくなって。
思わず伸ばした手を寸前のところで引っ込める。
触れた時点できっと離れてしまうだろう。我慢我慢。
そう言い聞かせるもむらむらと欲求が沸き上がる。
抱き締めたい、舌絡めたい、もっとくっ付いて体温を感じたい。
でも離れたくなくて、ぐっと堪える。でも、でもなあ。
もやもやと考えていると彼が手を握ってきた。
思わず目を開く。吸い込まれそうなほどに黒い瞳が僕を捉える。
心臓が騒ぐ。呼吸もままならない。好きだと全身が訴える。
「っ、は…」
酸素を求めて口を開くと彼の舌が進入してきた。
歯茎や歯列を舐ったあと、僕の舌と絡み合う。
頭がクラクラして彼の服を掴みそうになるもなんとか堪える。
自分の服をぎゅっと握る。しかし彼の動きは容赦なく僕を攻めた。
力が抜けて、倒れると思ったときには彼に押し倒されていた。
彼に触れられない手が行方もなく彷徨う。
眩暈がしそうなほどに甘く熱い口付けに思考が白濁して。
気が付けば彼の首に手を回していた。
彼が顔を離してはっとする。やってしまった。
慌てて手を離しても手遅れで。しかし彼はにこりと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!