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夕焼けが俺らを照らして、彼の顔しか見えなくて。
それは夕焼けの所為じゃあない気がするけど、それくらい彼しか見えなくて。
俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた彼は、俺の耳元に唇を寄せた。
「ずっと、俺のそばにいて。」
低くて心地良い彼の声。
腰も引き寄せられては何も言えなくて、ただ何度も頷いた。
そして彼の顔が近付いて、唇がまた触れ合って。
心臓が五月蝿いくらいに騒ぐ中、未だに俺の頭は真っ白で。
幸せを噛み締めては、彼にぎゅっと抱きついた。
先まで触れ合わなかった影は、この数分で重なり合った。
小さなものと大きなものは、重なっては離れ、重なっては離れ。
最後に一度深く重なり合えば、愛しさと幸福を残して離れた。
「また明日。」
幸福を抱えて手を振る少年と、幸福を秘めて小さく手を振る少年。
幸せだと、どちらともなく吐息混じりに呟いた。
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