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冬は寒い。それは至極当然のことなんだけど。
一度口に出してみれば何か変わるかなーと、思って。
一回だけのつもりで口に出してみた。
「冬ってさ、寒い…よね。」
ちらっちらっ、と相手を見てみても無反応。
がっくりと項垂れる。彼は本当に僕のことが好きなんだろうか。
本当は嘘だったんじゃないだろうか。彼は優しいから僕に同情して。
あああ、もしそうだとしたら僕は、僕は!
思わず彼の肩に掴みかかった。
「ねえ!本当は僕のこと、好きじゃ、ない、の?」
口に出してみるとつらいものがあった。
これでもし頷かれでもしたら生きていけないかも。
「やっぱ無し!今の無し!気にしなくていいから!」
つくづく自分はチキンだと思い知らされる。
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