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言葉が欲しいと思う。でもそれは自分の求めている言葉だけ。
相手から紡がれる言葉が、もし自分の求めているものではないとしたら。
そう考えると怖くて臆病になる。知りたいけど、知るのが怖くなる。
う、今ちょっと泣きそうかも。ほんの少し、顔を俯けた。
「好きですよ。」
「え、」
「俺、先輩のこと好きですよ。」
どきっとした。僕のことなんか見ないで携帯ばっかり弄ってるくせに。
僕のことも弄れよ。なんて言える訳もなく。
でも嬉しくて。にまにまと頬が緩む。嬉しい。
彼の服の裾を掴んで、緩く何度が引っ張った。
「僕も、僕もね、好きだよ。」
「うん、知ってますよ。」
「うん、うん、大好き。」
嬉しくて嬉しくて、何度も頷く。
頭をわしゃっと撫でられて、胸の辺りがほっこりする。
彼にぐっと詰め寄って小さく首を傾げた。
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