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彼女の名前は、美原由香。
僕がこの世で唯一愛する女性であり、僕と同じ大学に通っていた。
“いた”と過去形なのは、彼女が大学を中退しているからだ。
成績不振だったわけではない。いや、むしろ成績はトップクラスだった。学校では圧倒的カリスマを放ち、それでも決して傲慢や驕りとは縁遠く、だからこそ、教授たちからも、生徒たちからも慕われていた。“彼女ほど日本人らしい日本人はいない”と………
生まれは裕福な家庭だったらしい。しかし、彼女はそんな何もかもが手に入るところを良しとしなかった。だから、高校を卒業後、独立した。いや、殆ど家族との縁を切ったようなものだ。
そして、わざわざ一般人が通うような一般的な大学に進学し。そこで好きな事を学んでいた。
彼女の容姿はまさに洗練され、それでいてどこか温かみを帯びた…そんな誰もを慈しみ癒し愛する…そんな美しさを持っていた。
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