歪愛…SIDE-A

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 あの頃の僕は本当に腐りきっていた。いや、人付き合いは普通だったし、成績が特に振るわなかったわけではない。そう、溜まっていたのだ。フラストレーションが……  もともと、自分は友人からも“お前はドSだ”と言われてきていた。もちろん、自分でもそれを理解していた。だから、彼女とのファーストコンタクトは、僕の中では思いがけない最悪の形で訪れる事となったのだ。  ―――――僕が大学の廊下を歩いているとき、それは起こった。  その日、乗っていた電車の中でマナー違反を盛大に行っている男がいて、注意したら逆ギレされ、それが原因でのイライラが僕の心の底に埋み火の様に小さく燃えていた時…  僕は向こうから走ってくる1人の女性に気が付いた。 「あ……」  美原由香―――大学でも随一と言われる美貌と頭脳を持つ天才だ。
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