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告別式の日が合格発表だった どっちも大事なんだけど… って社長さんに相談したら 代わりに誰かに行ってもらう事にしてくれた 最後に菊の花でお母さんの周りを埋め尽くす 「慎吾…工藤さんから 『合格』の連絡が入ったよ」 「ホントに?」 お母さん…… なっ? オレ、ちゃんと合格したろ? 「綾子さん? 慎吾はイサワグループの重役にもらいますよ? 省吾さんにちゃんと伝えてくださいね」 社長さんがお母さんに囁く 奥さんが お母さんに口紅を塗ってくれた 社長さんと一緒に黒い車に乗ると 長い長いクラクションが鳴り響き 霊柩車は火葬場に向かい出発した 煙突から流れる煙が 寒い冬の空に向かって立ち上る もう少しで春だったのに…… 庭の花壇 お母さんの大好きなチューリップが まだ……咲く前だ…… 見せてやりたかったな…… 球根… 今年は社長さんとオレで お母さんの代わりに植えたのに お母さん お父さんに会えたかな? 春になったら、二人で見に来てよ
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