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慎吾が食い終わったあと
居間の掃除をしてくれた
「夕飯のお礼だよ」
って、足の踏み場もなかった部屋がすっきりした
ついでに封筒に入った
謎の離婚届けが出てきた
「メイ…お袋さんって日本人じゃないの?」
妻の欄に
『浅沼 アンジェラ』
笑える…
これじゃ離婚したくても
できねーよ
「それ、源氏名…」
「へぇ~綺麗な名前じゃん」
「そーいうことじゃないだろ?!」
ハハハ… まぁね…
残念ながら
これじゃ役所じゃ通用しないよなー…って
丁寧に畳み直し
渡された
時計は19時…
「そろそろ行くか…」
「………。」
そんな心配しなくても大丈夫だよ
外に出て
まずは神社に行く…
チャリ~ン
カランカラン…
……?
不思議そうに俺をみる慎吾
「どうした?」
「何してんの?」
「参拝…お前も挨拶しとけ」
首を傾げながらも
素直に真似る慎吾がかわいい
「行くぞ」
神社の入口付近に立つ女に声を掛ける
「早いね…」
「うん!」
「こちらミランダさん」
明らかに日本人
どんな商売の人か
慎吾も納得したらしく
頭を下げる
「あんなとこで
夏とかだったら蚊に刺されないか?」
どんな心配だよ…
裏通りのボロイアパートを
小綺麗に改造した売春宿
受付をババァと交代
「お疲れ様でした」
マジックミラーの裏側に座る
「女が客を連れて来るのが普通
目当ての子がいるなら
予約して直接来たりもするよ」
シフト表……と書かれた黒板に
名前が書いてあり
居場所にマグネットが付いている
神社、街中1、街中2、ゴールデン…基本その4ヶ所
街中は歌舞伎町
ゴールデンはゴールデン街
神社が1番客を掴める人気スポット
いずれ警察に目をつけられるから
稼げるうちに稼いでおこう
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