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「チェリーさん空いてる?」
「チェリーさん…あと15分だな」
「待ちます?」
手元の小窓から
背の低い方に聞くと
こっちを見て頷いた
ガタンッ
慎吾が立ち上がった
なっ?
おもしれーだろ?
ビックリした?
口を開けたまま
ミラーの向こう側を凝視
蕎麦屋ファッションで
また固まってやんの
「じゃあ、こっちで…」
デージーさんがパーテーションの向こうに案内
「俺、先行くからな?
帰りはお互いそのままでいい?
待たないから」
って、三万をポンと投げ
デージーさんとアニキっぽい方が上がって行った
『201』
慎吾が先に動き
マグネットを移動して時間を書き込んでくれた
順応性高いじゃん…
「どういうこと?」
パーテーションの向こうにはクルクルパーの沼田
「さっきのは、大学生の家庭教師らしいよ?
先週初めて来たんだよ
チェリーさんが担当
気に入ったらしくてさ
来週も絶対来るからって話だったから…」
「じゃあアイツが…18万の?」
「うん…たぶん」
「すみませーん
電話ありますか?」
小窓から手だけ出して
公衆電話がある左を指差す
「そっちです」
クルクルパーが丸見え
「あっ…お母さん?
僕…うん…もう少し勉強してから帰るから
心配しないでよ
うん…うん…先生もいいよって言ってくれてるから…うん…じゃあねー」
慎吾の脇を通り
チェリーさんが着替えて戻ってきた
「今日は稼ぐね~」
「まぁねー
早く旦那の借金返さないと
落ち着いて寝てらんないし~」
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