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慎吾はほとんど俺の家で過ごし たまに自宅に帰る …が、夜には 少し不機嫌な顔をして戻ってくる 手には 野菜や肉などが 山ほど詰まった袋をぶら下げて 夏休みが終わり 保護者会の知らせが学校から配られた 「なぁ~来週保護者会だってよ…行く?」 アトリエに入り オヤジに聞くと 「そうだなぁ…」 タコ焼きの鉄板をひっくり返したみたいなオブジェに色をつけながら 「どぉ?」 って聞かれた 俺の質問はどーなった? 横にバスタオル一枚掛けて ポーズを作ってる裸のメリーさん オヤジには この人がタコ焼きの鉄板に見えるんだ…… よくモデルに殴られないよな~ わざわざ脱いでやったのに なんだソレ?みたいな出来上がりだもんな 「行くよ」 「わかった…」 キッチンでは慎吾が夕飯を作っていた 売春宿は日給1万 リスクは高いが かなり楽な仕事 慎吾も俺も大分貯まった …ただ、俺は 美大専門の予備校に通いたいから それで消えちゃうから まだ4年分の学費を稼がなきゃならない 間に合うのか? 「ジョニパ…夕飯何?」 家事をする慎吾に声をかける 「中華丼」 本を片手に飯を作る 「俺さ…来年から予備校に通うから 勉強教えてくんない?」 ブハッ! 思いっきり、大爆笑 「予備校行って勉強すんじゃねーの?!」 「違うよーー 美大専門の予備校だから アートだけなんだよ 入試は実技以外に筆記もあるからさ…」 「メイ、美大受けるんだ…」 「まぁね」 「絵…得意?」 「……?」 「庭のコスモス描いてよ」 「お安いご用でやんす」
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