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ビニールテープを3個切って
イーゼルの脚を置いたところ3点に印しを付ける
明日、また朝から続きをやろう
荷物をまとめ
やっと慎吾の家に上がる
「お疲れ…」
洗面所へ案内され
風呂に入った
広っ!
俺ん家の風呂
カビだらけで
薄暗い電気だからな
不衛生きわまりない家とオヤジを思い出し
……帰りたくない……って呟く
風呂から上がると
夕飯が出来ていた
「絵を描く姿って絵になるな…
メイに惚れそうになったよ」
軽く告られた
焼き魚と肉じゃがと味噌汁と浅漬け…
「お袋の味だね…嫁に来いよ」
俺も、慎吾にプロポーズしてみた
慎吾の味噌汁旨いんだよなぁ~
ズズズ…
「なぁ…」
慎吾が何かを思い浮かべながら
俺に話しかけてきた
「んー?」
「……絵を描く時ってさ…」
「んー?」
「ベレー帽かぶんないの?」
ブハーッ!
……味噌汁を吹き出した
「お前…コントじゃねーんだから
ンな奴、今時いるかよ?!」
「なんだぁ~つまんねー
じゃ今度プレゼントしてやる
ついでにヒラヒラした白いスモッグも!」
…ウケる
マジで慎吾面白れーよ
金、土、日…
丸一日庭に出て、描き続けた
「来週、もっと咲くだろうから、また来るよ」
荷物は全部置き去りにして
月曜日の朝
駒沢から慎吾と学校に向かう
「あのコスモスいつから額に入れていいの?」
「まだ…
来週行ったら……
また、いじりたくなるからそのままにしといて」
「わかった」
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