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どうして高校生になったばかりの私がこんな事をしないといけないんだろうか?
左を見れば、正装をした祖父。
右を見れば、同じく正装をした両親。
そんな三人を交互に見て私は大きなため息をついた。
私は杞憂 杏子…
ごく普通の高校2年生…といいたいところだけど少し他者とは異なった点がある。
それは家柄。
こんなことを自分で言うものじゃないと思うけれど、私の祖父は杞憂ホールディングスの会長。そして父は社長…
世に言うお金持ちと言うものだ
「杏子、心配するな!藤条は良い奴じゃよ…!」
「えぇ…お祖父様」
「心配なんかしてないよな、杏子」
父様がニコリと笑って私の肩を叩いた…
ズルいよね、こんな事を笑顔で言われたら…「はい」って言うことしか出来ないじゃない。
いくらお金持ちだからって…幸せじゃなければ意味がない。
私には[自由]と言うものがなかった、現に今日…
私は会ったこともない祖父の会社の部下と結婚させられる。
…高校2年生と言ったら自分が行為をもった人と付き合ったりする時期
なのになんで私は…
窓から外を見れば雪が降っていた。
漆黒の空から降る純白の雪は何処か幻想的で…
「杏子…杏子!!」
「あっ!…はい!?」
「話は聞いていたか…?」
しまった…
自分の世界に浸りすぎて全然話なんて聞いてなかった
「その様子だと聞いて無かった様だな」
はぁ…とため息をつくお祖父様と苦笑いを浮かべる私。
[ごめんなさい、お祖父様]
心のなかでそう呟いた。
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