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随分と迂闊だったんだな。
過去の自分を振り返るとつい笑いが込み上げてしまう。
けれど、彼女にはそれだけの力があった。妖を従わせるだけの美貌と、強さ。
そして不思議と、鬼である私を恐がろうともしなかった。
「…これが鬼の角というものか。ふむ」
「あまり触るな…。人に見せるものでもないのだから」
「そうなのか?なかなか興味深いぞ」
好奇心が強く、お転婆。
そこも魅力なのだろう。
幼子のように、毎日二人でよく話し、じゃれあった。
季節は春を終え、夏に向かおうといていた。
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