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いっそのこと、殺してしまおうか。
彼女を愛すれば愛するほど、物騒な考えが頭に浮かんだ。
彼女を悩ませるすべてから、解き放ってしまいたい。
「…馬鹿だな、玻璃月。お前の考えは手に取るようにわかるぞ…」
皮肉気に顔を歪め、芙蓉が笑う。
「なぁ、玻璃月」
芙蓉は立ち上がり、からりと襖を開けた。
「この庭を…花でいっぱいにしようと思う」
日が差し、雪が光を反射して眩しい。
芙蓉が、見えない。
「撫子、桜、楓、紅葉…ああ、蓮華もいいな」
「年中花に囲まれて…そうしたら、寂しく思うことなどない」
「寂しくなど、ないよ」
苦しい。
「芙蓉!!」
掻き抱いた身体は細く、折れてしまいそうだ。
「私と…一緒に来い。お前がそんな顔をしているのは嫌だ…私と一緒に来て」
「私に、鬼の子を孕めというのか」
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