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質問の意味が分からなくて答えられず戸惑っている様子が良く分かる
俺と同じ黒の瞳
虚勢を張ってる訳でもない、ありのままの純粋な伊織の心を瞳を覗いて探るけど感情の影も形も捕まえられない
伊織の顔の横に右手をバンッとつく
驚いて目を開き俺を見上げる視線にも怯えは見えない
ピクリとしたのは紛れも無くただの反射
「答えられなくて、すい……」
小さな声で謝罪の言葉を口にしようとした唇を途中で人差し指で押さえる
「ねえ、伊織。兄が死んだ時、どう思った?」
静かな呼吸音が響くだけの空間で初めて伊織の気配が揺れた
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