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「起きて~朝だよ」
そんな典型的な台詞で、俺は毎朝、毎朝起こされる。
いや、起こされると言うと語弊かもしれない。
何故なら……
「がはっ!」
何が起きたのか。
それを理解するのに、そう時間はかからなかった。
と、言うよりは、理解したく無かった。
あぁ、母上様。
2071年4月1日午前6時27分。
自室の扉が幼馴染みにより破壊されました。
嘆きのメッセージを母上様に送信して、自分の上に乗った扉(幼馴染みにより破壊された)を労るようにベッドにのせた。
「あら、起きたの?」
そんな間抜けな声をかけた幼馴染み。
「楪、お前は俺を殺す気かっ!」
俺は幼馴染み、楪 十香(ゆずりは とうか)にそう告げた。
「毎朝、毎朝起こす私の身にもなりなさいよ。波流香(はるか)さんに頼まれてなきゃ起こさないわよ?」
あの母親は過保護過ぎだ。
そして、この幼馴染みは、真剣に捉え過ぎだ。
5年前に他界した母親に変わり、毎朝、毎朝面倒をみてくれている。
「何よ、ジッと見て、私が綺麗で見惚れるのはわかるけど、朝は忙しいんだから、朝ごはん早く食べに来てくれる?」
言いきると部屋から出ていった。
……後ろ姿は母親に似てきたな。
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