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「ガシャ、ガシャ」
北、いや正確には北北東の方角からだ。
鉄と鉄が擦れる音がした。
少しずつ、近づいてくる。
「ガシャ、ガシャ」
兵は一人…
焼けた木々の木陰から現れたのは白銀の甲冑をきた一人の娘だった。
腰には二つの剣を携えている。
生き残りの始末か?
それとも捕虜か?
どちらにせよ。
今の俺に生きる意味などない。
すぐ、傍に合った瓦礫に寄りかかり、甲冑を纏った娘を見据えた。
と、娘は口を開き問ってきた。
「オイ、少年。お前はイフゼンの者か?」
「あぁ、そうだ」
嘘を付いても、剣で斬られるか、捕まるかのどちらかなら嘘を付く必要がない。
「よかった、イフゼンの生存者か」
娘はイフゼンの生存者がいたことが、余程嬉しかったのか、
先ほどとはまるで違うトーンで答えた。
「で、あんたは何者だ?」
俺は先ほどと変わらない冷たい口調で問った。
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