†第一話† ~生きる意味~

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「なぁ、ブリュンヒルデ。 俺がお前の“生きる価値”になる。 だから、お前が俺の“生きる意味”になってくれ」 俺はもう、命が惜しくないなどとは言わない。 生きる意味を見つけてしまった。 だから、俺はもう、迷わない。 今度はこの“意味”を失わないために。 「へ?」 ブリュンヒルデは目にまだ、涙を溜めたまま間抜けた声を出した。 俺は立ち上がり、ブリュンヒルデを見据えた。 「行こう」 俺は微笑み、手を差しのべた。 「こ、これじゃ、立場が逆転してるじゃないか!」 ブリュンヒルデは、目尻に溜まった涙を拭いながら告げた。 そして、手を取り 「うん、行こう」 とびっきりの笑顔を見せ、立ち上がった…… あっ!忘れるところだった。 「っと、その前に母と妹を弔ってもいいか?」 「くすっ……最後、格好よかったのに、台無しだな」 ブリュンヒルデは俺の鼻をツンツンして、クスクス笑っていた………。 ……母さん、シャロン。俺、行くよ。 「もう、いいのか?」 「あぁ、これ以上いるとまた、行きたくなくなるからな」 「そ、それは、困る」 ブリュンヒルデは真剣な顔で服の袖を掴む。 こいつ……上目遣いは反則だろ……。 「大丈夫だ、生きる意味、見つけちまったから」 目を反らし頬をポリポリ掻く動作で誤魔化す。 「そうか、なら、よかった。それじゃ、行こう」 目を反らしたのはいいが、掴んだ袖は離れなかった…… ビュー。 風が俺らの背を押した。 「きゃっ」 ブリュンヒルデは可愛い声を出した。 そして、少し、風に怒ったように独り言を言い出した。 「なんて、嫌な風だ。ぶつぶつ……」 俺には、母さんとシャロンが後押ししてくれているようだったんだが、ブリュンヒルデは俺の気もしらずにムスッとなっていた。 「ありがとう、母さん、シャロン」 二人に感謝して、空を見た。 「何か言ったか?」 不思議そうに見てくれるブリュンヒルデ。 声に漏れていたか。 「何もねぇよ。それより早く食べ物探そうぜ。腹ペコだ」 「じゃあ、行くよ。早く、早く」 駆け出していく、ブリュンヒルデ。 「ちょっと、待ってくれよ」 そして、俺も走り出した……
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