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「そっか。じゃあ、今度どこか行った時には土産買ってくるよ」
「わぁ、嬉しい。でも何だか申し訳ないです」
俺はタイミングを見計らっていた。今なら渡せそうな気がする。
━━じゃあ、今日は土産の代わりに、これを━━
そう言って指輪を渡す。よし、これで行こう。
「じゃあ……」
そう言葉を発した瞬間だった。
「あ、すみません」
そう言って彼女は厨房へ入っていった。
俺はポケットから出しかけた右手をゆっくり戻した。
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