ヤンデレ、それは歪んだ愛

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目が覚めるとそこは俺の部屋の天井だった。 「良かった…夢か…」 のそり、と起き上がり、時計を確認する。 「七時…晩ご飯か」 耳を澄ませば何かを炒める音が微かに聞こえる、今日は何だろうな? リビングの扉を開けた、しかし俺はもう一度眠りから覚める。 そう…これは現実だ。 「あっ!恭介さん起きた?もうすぐ出来るから座っててね!」 そう…いつものキッチンには赤いエプロンを纏った専業主婦のルシファーじゃなかった。 黄色のエプロンを纏ったメルカだった。 「ゴメンね、赤いエプロン汚かったから捨てちゃった、あと他の部屋も掃除したから… 綺麗になったよ?」 俺は慌ててリビングを飛び出し、アーサーの部屋を確認する。 そうだ、お菓子で溢れている筈なん… 「だけど…なぁ…?」 何も無かったんだ、それはもう引っ越し直後の部屋みたいに。 俺はおぼつかない足取りで四人部屋を開ける。 そうだ…サタン達が遊んでる筈だ…。 「あは…はは…」 力の無い笑い声が零れる。 四人部屋にはサタン達の落書きがあった筈なのに、何もかもが無くなっている。 もう壁をつたわないと歩けない、俺は最後の、そう、ルシファーの部屋を開けた。 「ぐっ……」 質素な部屋だった筈の部屋、机、ベッド、タンスしか無い部屋も綺麗に綺麗にされていた。 「恭介さん?食べないんですか?」 「あぁ…食欲が無くてな…悪いけど熱っぽいから寝てる」 「なら看病を」 「いや、寝たら治る程度だから…一人でいい」
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