ヤンデレ、それは歪んだ愛

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「おい!しっかりしろ!今治すから!」 俺が傷口に手を当て、回復魔法を唱えるが… 「治らない?何で!?」 「…魔…槍…だから…だ…」 「くそっ!」 俺は魔法を唱え続ける、しかし血は止まらず、むしろ傷口はどんどん酷くなっていく。 「ゲイ…ジャルグ…、悪い…マスター…少し……休む…」 アーサーは光の粒子になって消え、地面には血溜まりだけが残っていた。 「恭介さん、早く帰りましょ?」 「それは無理だ」 「え?」 「無理だって言ったんだ」 「え?意味がわからない、熱があるの?じゃあ戻らないと…」 メルカが俺の腕を掴み、引っ張るが俺は抵抗し、動かない。 「なんで…」 「離してくれ、俺は…怒ってる」 「そんなの恭介さんじゃない」 「メルカの中の俺は俺じゃない、俺は俺だ、だから…俺から離れてくれ」 「そ、そうよ…これは夢、なら殺しても大丈夫、あなたは偽物、本物は家にいるから…」 「俺は本物だ」 「…。」 メルカは黙り込み、虚ろな目で俺を見た。 「なら…私の恭介さんは?」 「居ない、メルカの言う事を聞く恭介はこの世に存在しない」 「ならここにいる恭介さんは偽物だね…」 槍を掴む力が強くなり、俺は心臓目掛けて突いてきた槍を避け、大きく距離を離した。 「待てメルカ!俺は話を…「うるさい、恭介さんは私のものなんだから、一緒に居てあげるからね」 死の槍は俺の心臓を的確に狙い、俺は避け、更に避ける。 「待てよ!俺は否定してるわけじゃない!ただ本当の事を…くっ!」 「恭介さんは私の大事な人なんだから、偽物は死んで、必要なんて無い、もし恭介さんが死んでも一緒に居てあげるから大丈夫だよ?」
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