海、それは無限の自由(フリーダム)

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列車から荷物を持って下車し、最後に降りる俺はある方向を指差す。 「今日から一週間、あの旅館に泊まるからな」 指差した先には少し古風な雰囲気を醸し出す旅館だった。 するとツカサが奥に見えるホテルを指差した。 「ホテルじゃないの?」 「俺もそうしたかったんだが…一週間も泊まるなら洗濯とかも出来る旅館の方が効率いいと思ってな」 「ふーん、別に気にしないけど」 「さて!早く荷物置いて海に行こうぜ!」 「何を言ってるんだアキラ?」 「へ?」 「お前ら寝る所無いぞ?旅館の予約して無いし」 「「「えぇぇぇ!?」」」 「……冗談だ、クスクス」 「ふざけないでよ!かなりビックリしたじゃない!」 風紀委員のセリアが怒声混じりに言う。 「いいのか?俺にそんな事を言って…」 「…くっ、ゴメンなさい…ギリッ!」 はっはっは、愉快痛快(笑) 人の弱みってのは最高だねぇ(笑) 「まぁ行くぞ、旅館は貸切だから好きなの使え」 「かかか貸切!?そんなの魔皇帝さんじゃあるまいし!君の言葉は嘘だッ!」 意外に勇者が驚いていた。 てか魔皇帝は俺なんだが…まぁいいや 「嘘だと思うなら先にこの荷物持って聞いて来いよ」 「望むところだ!」 勇者は全員の荷物を担いで旅館に走って行った。 はっはっは、バカは扱い易くて助かる(笑) さて、海に行くか。 「着替えはここじゃないから、海の方に着替え出来る部屋があるからここで脱ぐな」 俺はシャツに手をかけていたサタン、ルカ、レイラを止め、近くに居たアキラは鼻血を吹いて倒れていた。 「セリアはもう着替えてるんだな」 「なっ、なんで分かるの!?」 「…え?冗談のつもりで言ったんだが…もしかして、…【海ってやっぱりテンション上がるから家で着替えてから行くよね】という17歳とは思えない恥ずかしい行動を取ったとしか思えないな!」 セリアはコクコクと顔を真っ赤にして頷きいた。 「意外と貴女って子供っぽい水着が好きなのね」 「きゃぁぁ!?」 後ろでレイラがセリアのシャツを捲り、フリフリの付いた水着を見て笑みを浮かべていた。 「さっさと行かないのか?」 良い加減にしろ、といった表情を浮かべたアーサーに促され、俺達は海の方に歩き出した。
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