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「ほ、本当にいいの?私とアキラ君は元々そんな頼み事を出来る中でも無いし…」
セリアはもう一度確認を取る為に言う。
「いや、そうでも無いんだよなぁ…、結構理由もあるし、例えば…個人情報とか」
「え?」
セリアは素っ頓狂な返事で答えてしまった。思い出されるクサナギからの普通では考えられない支援。個人情報を売り渡す人間が本当に居た事を知った時でもある。
「まぁそんな事はどうでもいいんですけどね」
ガクッと転けそうになる、セリアは一言、顔を赤らめながらゴメン、と言った。
「別にいいですよ、まぁ話はこれだけなので、帰りますか?」
「あ、あと一つお願いが…」
「なんですか?」
「その…敬語はやめて欲しい、あと風紀委員長ってここで言うのはちょっと…」
内心はもっと仲良くなりたい、そして名前で呼んで欲しいという理由。
多分クサナギならこの心の声を隅々にまで理解して大声で叫ぶだろう。
「ゴメン、俺アンタの名前知らないんだ、教えてもらえる?」
「せ、セリア=クロイツ…」
名前を言うだけでこんなにも恥ずかしいのか、とセリアは爆発しそうな思いを胸に秘める。
「セリアさんか、改めてよろしくな」
「は、はいっ!」
また声が裏返ってしまった、セリアはあぅ…と小さく声を漏らしたがら頭を抑える。
「じゃあ帰るか、お昼もまだだし」
アキラとセリアは横に並んで元来た道を引き返して行った。
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