大概勇者ってのはクズだ

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とりあえずは怪我している二人に回復魔法を唱え、話が出来る状態にする。 「はっ!僕は一体…?」 「結局引き分け?でもそんな気がしねぇんだよなぁ…うわっ!?」 勇者は起き上がって周りを見回し、明は起き上がった瞬間ゼウスが抱きついて来て口をパクパクさせている。 ペドじゃないのか…?成る程、ロリコンだが悪い奴じゃないらしいな。 「とりあえず俺から見たら勇者の方のランクはB、明はSランクぐらいだな」 「納得行きません!僕は勇者なんですよ!?」 「だから何だ?」 「なっ!?」 俺は殺気含んだ眼差しを勇者に向ける。 「いいか、力が有ってもそれの使い方と状況判断能力に欠けていたら意味が無い、お前はただの愚か者だ。勇者?英雄?…そんな肩書きどうでもいい、そんな肩書きを気にしてるくらいなら魔王と戦うな、女に囲まれて暮らしとけクズ野郎。第一、都合の良い事だけを鵜呑みにしてるお前はただの雑魚だ、俺が教える事なんて何もない」 そう言い切ると俺は三人の使い魔の所に行き、転移で寮に向かう。 ◇ 明視点 あんな真面目な奴だったのか…あいつ。 まぁ実際、俺も突然こんな魔法があって戦って生きるサバイバルのある世界に来て少し不安だ。あいつが言いたいのは【綺麗事なんて一つもありはしない】って言う事。 それを…神崎はわかってるのか? 「なぁ神崎、俺あいつの言う通りと思うぞ、本当に戦う気ならそんな考え捨てろよ」 勇者の使命を背負ってるなら尚更だ、勇者だから、なんて考えは甘えにしかならない。 「…僕は、何を守ろうと考えてたんだ?ただ…勇者だから浮かれてただけなのか?」 「その通りだな」 ギリッ、と噛みしめる音が聞こえ、神崎の拳が強く握られる。 「少し考える事にするよ、魔皇帝さんには…後で会いに行く」 「チッ、…仕方ねぇな、俺も一緒に謝ってやるよ」 「明?」 「神崎の事は嫌いだけど幼稚園からの腐れ縁だ、放っておく事なんて出来ねぇしな」 口を尖らせて言い、明はゼウスを肩車して立ち上がる。 「とりあえず城に行くぞ、今後の事を聞かないと何もわからないからな」 「ありがとう、明」 「礼なんていらねぇよ、行くぞ!」 「あっ!待ってよ明!」
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