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◇
「ーーであるからにして…、おい、魔皇帝、聞いているのか?」
国王がそう言うと俺は目だけを国王に向け、すぐに目線を窓の外にやった。
アーサーの事が気になって仕方が無い、どうすれば許してもらえるか考える。
「全く…、今日の定例会はここまでだ、何かあれば報告するように」
国王がそう言うと俺は席を立ち、部屋を黙って出て行った。
バタン
「…ん?」
「あっ!魔皇帝さん!」
うざいのが来た…
そう思いながら頭をガシャガシャと掻き毟り、溜息を吐く。
「なんだ?」
「あの…すみませんでした!」
「はぁ?」
「これからは勇者だから、ではなく勇者として頑張るので…その…、これからもご鞭撻をお願いします!」
「…考えとく、行っていいぞ」
「失礼します!」
勇者は走り去って行った。
「…少し人としてマシになったか」
俺はクスッと笑い、街の方に転移した。
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