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◇
「嫌だ」
初めての語りですね、私はサタンです。
現在、アーちゃんを連れ戻そうと頑張ってます。
「マスターが心配してるよ?」
「知るか、マスターなど知らん」
ぷいっと頬を膨らませてそっぽを向き、私は小さく溜息を吐く。
「…飴」
ピクッと反応するがアーちゃんはぶんぶんと首を振り、考えを振り払う。
…これは相当きてるね(怒り的な意味で)
因みに私達はマスターのギルドカード(通帳的な物)を拝借し、宿をとってたりします。
てへっ☆~(ゝ。∂)
マスターは「死ぬから、それ死ぬるから絶対やめろ」って言うんですよねぇ…、ちょっと残念です。
それよりも!
「ア~ちゃん…!帰ろうよぉ…マスター心配してるって…!」
「嫌だ!私は帰らん、帰るならサタン一人で帰れ…、マスターなんて…嫌いだ」
布団の中に潜り込み、サタンが剥がそうとしても絶対に剥がれない。
魔王を倒した唯一の女勇者なだけはある。
とサタンは思い、溜息を吐くと空間を開いて中に入って行った。
暫くするとひょこっと顔を出し、一言いった。
「マスターは何でもする人だよ、どんな不可能でも可能にする、そういう約束だったでしょ?」
そう言って再び空間の中に戻り、居なくなったのを確認するとアーサーは布団から顔を出し、ポケットの中に入っていた最後の飴玉を口の中に入れた。
そしてガリッ、バキッ、メキメキ
「無くなってしまったな…」
跡形も無く噛み砕いた飴玉を食べ終えて呟き、再び布団の中に潜り込んだ。
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