アーサーのお菓子か魔界の王になれる、どっちを選ぶ?

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「通せよ」 「すまない、現在魔王様は面会を拒絶されている」 「何で?」 「さ、さぁ?こちらに来られてからずっとあんな状態で…」 「なら通せよ」 「無理です」 かれこれ一時間この繰り返しだ、部屋の前までわざわざ来てやったのに。 「恭介、今日は出直そう、そこの魔族」 「はい、なんでしょう?」 「明日また来る、とだけ伝えれるか?」 「了解しました」 俺はルシファーに促されて渋々扉の反対方向を向き、歩き出す。 「マスター、どうしたの?」 「…いや」 やっぱり前魔王と言えど限界はあるか、強引に会えば戦争の引き金にもなりかねないし… 「はぁ…」 俺は溜息を吐くと二人を連れて城の限界に転移した。 そして帰り道である森の中を進んでいると。 「おいそこの人間!」 「貴様ら、口に気をつけ…」 俺はルシファーを手で制し、首を捻って横を見ると武装した悪魔達が居た。 「どうした?何か捕まえて来たのか?」 「魔王が変わったのって本当か?」 「らしいな、でも面会謝絶だ、残念だったな」 「そうか、じゃあな」 俺は黙って武装した悪魔達が通り過ぎるのを眺め、見えなくなると再び前を向いて歩き出した。 「今日は魔界に宿をとるぞ」 「何故だ?」 「何か胸騒ぎがする、ルシファーはアーサーの夕飯を頼む、サタンは寮に戻ってくれ、一人だと心細いだろうしな」 「アーちゃん寂しがり屋なの?」 「わからん、でも…そうあってくれたら嬉しいのに…」 ◇ 「くしゅっ!…誰かが噂をしているのか?くしゅっ!」 アーサーは鼻をすすりながら洗濯物を畳んでいた。
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