アーサーのお菓子か魔界の王になれる、どっちを選ぶ?

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森を抜けると魔族だけの街が見えた。 街の中に入るとやっぱり、と思うぐらい魔族に見られる、まぁ一人で魔界に来る人間は珍しいしな。 「なぁ、このへんにホテルとかってあるか?」 「いや、無いな」 街を歩く魔族に聞くが誰も知らないと言う、嘘か本当かわからない。 人間は昔から魔族と仲が悪いからな、普通に教えてもらえる筈が無い。 あれこれ聞いていると飯を作り終えて転移でルシファーが帰ってきた。 「見つかったか?」 「いや全く、どうする?」 「ホテルが無いのは本当だ、何処か泊まらせて貰う…無理だな」 まぁルシファーは行けると思うけど俺は無理だな、追い出されて終わりだ。 「仕方ねぇ、野宿でもするか」 「魔界でその方法は普通に自殺行為だぞ」 「結界はりゃ何とかなる「あ、あの…」ん?オォォォ!?」 俺が後ろを振り返ると青く透き通る体の魔族が声をかけて来た、もうスライム娘ですね。 俺はテンションが上がって仕方無かったが抑えた。 「な、何だ?」 「や、宿が無いなら…その…部屋の空きあります…よ?さ、さっきから探されていたので…」 「本当か?俺人間だぞ?いいのか?」 「困っている様に見えたので…ひゃう!?」 俺はそっと手を握り、上下に振った。 「ありがとう!助かった!」 「良かったな恭介、頑張った甲斐があったぞ」 ルシファーはそう言うとスライムっ娘は手を招く。 「こっちです」 「名前はなんて言うんだ?俺は草薙 恭介、こっちじゃキョウ=クサナギって呼ばれてる」 「俺はルシファーだ、まぁ悪魔王だが気にするな、取って喰いはせん」 「喰った暁にはお前を消し炭にする」 「じょ、冗談に決まってるだろ恭介」 スライムっ娘は全く気にした素振りも見せずに空を眺めていた。 「聞いてる?」 「えっ?あ、すみません…えと…」 「恭介でいい、こっちはルシファーだ」 「恭介さん…、ルシファーさん…ルシファーさん!?あわわわ…た、喰べられる…!」 「喰べないと言った筈だが…」
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