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◇
その日の夜中、俺はふと目覚めた。
何やら騒がしい、俺は窓の外に目をやるとハッとして服を急いで着替え、隣の部屋で寝ているルシファーを蹴り起こした。
「なんだこんな夜遅くに…」
「マズイぞ、城が燃えてる」
「なんだと?」
ルシファーも窓の外に目をやり、ギリッと歯をくいしばった。
「手遅れにならない内にすぐに行くぞ」
「わかった」
出来るだけ音を立てない様にベットから起きたルシファーはコクリ、と頷き、俺は城に向けて転移した。
◇
???視点
突然同じ魔族の人が襲って来た、怖い、逃げたい、戦いたく無い。
「魔王様!逃げッ…」
ドサッと目の前に倒れるメイドさん、メイドさんの後ろには武装した魔族の人達が立っていた。
血が滴ってる斧がメイドさんを殺した、これは紛れもなく事実、でも私には何が起こったのか全く理解出来なかった。
「こいつが魔王…、元人間の癖に…、俺たちの上に立つんじゃねぇよ!」
私の頭の丁度真上に斧が振り上げられ、ギラリ、と鈍く光る。
「助けて!」
「誰も助けなんて来るわけねぇだろ!」
振り下ろされた凶器、瞬間、私の身体から何か、恨みの様な感情が噴き出したと同時に見知らぬ青年が見えた。
◇
遅かったか。
と俺は先に言っておく。
ルシファーには怪我人と襲撃者の捕縛を任せ、俺は現在魔王と思われる少女と凶器を持った魔族の間に割り込んだ。
因みに魔武器のグローブで受け止めたつもりが手首に斧が食い込み、ポタポタと血が滴る。
めちゃくちゃ痛い。
「悪いがお前達を殺す理由が俺には無い、退いてくれ」
刹那、魔族の反対側からドス黒い感情、狂気という言葉が一番しっくり来る。そんな黒い霧が蔦になって魔族を捕まえた。
「捕まえたァ…」
「やっぱり…」
少女は目が虚ろになって戦慄を覚える様な笑みを浮かべていた。
間違いない、この少女はミスで死んだんじゃない、邪神に殺されて転生したんだ。
俺は蔦を引きちぎり、斧を持った魔族達を少女から大きく距離を離す。
「逃げろ、壊れるぞ」
魔族は頷くと慌てて逃げ帰った。
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