アーサーのお菓子か魔界の王になれる、どっちを選ぶ?

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「よォ邪神、久し振りか?」 「……。」 少女は答えない、多分感情も何もかもが奪われた人形か。 邪神に取り憑かれた、それも無理矢理に。 多分だと思うがこの少女は不条理な殺され方をしたんだろう。 「はァ!」 黒の蔦が俺の四肢を捕まえるが俺は簡単に引きちぎった。 「今直ぐ戻してやる」 浄化属性の魔力を手に宿し、一瞬で少女の後ろをとると首を締める様な形で一気に魔力を流し込む。 悲鳴を押し殺す、こうしないと少女の口から邪神の狂気が漏れて大変な事になる。 だから少女の中で邪神に関する全てを消し尽くす。 「あと少しだ」 少女の中に宿った狂気はもがく様に俺の腕を毟り、傷口に躊躇なく手を入れて千切るように引っ張る。 そして数十秒後、少女の身体の中に居た邪神の狂気は浄化されて消え、規則正しいリズムの呼吸が腕で感じれる。 「はぁ…」 少女をその場に寝かせ、俺は腕の傷を直して少女を見る。 「邪神を宿した少女…か」 静かに寝息をたてる少女の頬を一度だけ撫でると俺は立ち上がり、帝用のローブを布団代わりに被せる。 「恭介、終わったか?」 「あぁ、明日から忙しくなる」 ルシファーにそう言うと俺は窓の外を見た。 「とりあえず天界のクソジジィ神共を問い詰めないとな…」 紫の満月を眺めながら俺は小さく呟いた。
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