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◇
城に行くと昨日燃えて崩れていた所は元通りになっており、門の前にはルシファーが少し疲れた様子で城を見ていた。
「ん?恭介か、城は直しておいたぞ、襲撃者達の事も終わらせた」
「サンキュ、さて…魔王に会うか」
と、言っても昨日会ったけどな、と俺は思いつつも城の中に入って行った。
「あっ!」
昨日の魔族が俺に気付き、こちらに向かってくる。
「お待ちしておりました、こちらへ」
昨日と同じ扉の前に立ち、俺は躊躇なく扉を開けた。
「は、ハジメマシテ!」
何を緊張してるんだ?
まぁいいか。
「悪いな魔王さん、こんな朝早くから」
魔王とは全く思えない少女は黒い髪をわしゃわしゃと掻き回し、落ち着いてなかった。
「落ち着け」
とりあえず少女の頭を軽く小突き、ソファに座らせた。
俺も向かいのソファに座る。
「あ、あなたの名前は?」
「草薙 恭介、元々はこの世界の住人じゃない、今はキョウ=クサナギって呼ばれてる」
「えと…なら地球ってしってますか?」
「あぁ、お前もそこから来たんだろ?」
「良かった…!」
「おっとと…」
急にテーブルを飛び越えて抱きついて来たぞ、危ない危ない、落とす所だった。
「私、本当は東宮寺 都華咲っていいます!でも…突然魔王とか意味わからなかったので…」
ぐすっ、と鼻をすすり、俺はポンと頭の上に手をおく。
「不安だったんだろ、痛い程気持ちはわかる」
「もう少しこのままでいいですか?」
「落ち着くまでしてたらいい」
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