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◇
こっからはルシファー視点
「さて、相手になってもらおうか、神皇龍よ」
とりあえず一瞬で近づき、ムーンサルトキックを龍の鼻頭に放つ。
メキッ、と良い音が鳴り、俺はすかさずトンファーをブレードモードにして切り崩す。
鮮血を噴き出し、血が俺の身体に付着する。
それにしても斬れ味がとんでも無いな、バターの様に軽い。
「マグナ・ブラスト」
右手に籠めた魔力を一気に解放し、龍に向ける。
「爆ぜろ」
轟音が轟音で掻き消され、世界が一瞬真っ白になった。
「フン、意外とやるな」
ルシファーは鼻を鳴らして龍を見る。
「既に満身創痍、と言った所か」
◇
恭介視点
やり過ぎだろ、ちょっと熱かったぞ。
勇者を消し去ろうとした時の魔法がこれかよ。
それに勝負は決まったな、あっ、ルシファーが止め刺したな。
俺は転移でルシファーに近づいた。
「終わったか?」
「いや…、まだ生かしてある」
殆ど虫の息に近い龍は弱々しく俺を見た。
「ん?この龍なんか様子が変だぞ?」
俺は龍の眼を覗き込む、そこには…
「…操られてるのか?」
雑な魔法陣が描かれていた、あれ?待てよ…、何かおかしく無いか?
「なぁルシファー、神皇龍って好戦的なのか?」
「いや、気性は大人しい、人の前に出るのは滅多に無い筈だが…」
「とりあえず戻すぞ」
俺は龍を囲む大型の魔法陣を一瞬で作り、最上級の治癒魔法を唱えた。
すると龍の傷は殆ど治り、小さな地響きを立てながら龍は起き上がった。
「グルルルル」
ペコっと律儀に頭を下げてきた、知能はあるみたいだな。
「なぁ、聞きたい事があるんだが」
龍は黙って俺を見ると思いきや
『なら人型になった方が話しやすいか?』
えぇ?喋れるなら言えよ、めちゃくちゃ驚いたじゃねぇか。
ルシファーは当然だろ、とでも言わんばかりの目で俺を見た。
「何だよ、【高位のドラゴンは人語を喋れるぞ?そんなのも知らないのか?バカだな】とでも言いたげだな!」
「常識だぞ恭介、それに会話なら戦う前に出来たが操られていたならば出来無いだろう」
『おい…話を進めていいか?』
「ん?あ、悪い悪い」
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