プロローグ

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その身に難があるのなら、丙に選ばれし白髪の神子に願い出よ。 さすればたちまち、その身の苦しみは曇天が晴天になるように消え去るだろう。 白髪の神子は村人を苦しみから解放するために選ばれ生まれし丙の神子。 崇め、深く信仰し、願え。 この小さな村に昔から伝わる、こんな気味の悪い言い伝え、伝説、慣わしには幼心ながらに違和感はあった。 村の人間の殆どが信仰し、崇めているのに対し気味が悪いと思っているのは極一握りあるかどうかなのも分かってはいた。 私はその極一握りの内の1人。 米俵の中に少し濡れた掌をとんと置き、すぐに上げた時に付く米粒の数が少数だとしたら残りの米は全てが信仰者。 私は濡れた掌に付いた少ない米粒の内の1粒。 私はこの村の人間の殆どが信仰する伝説、慣わしに関して完全批判的で信じていなかった。 毎日雨が続き、じめじめと湿気が鬱陶しい6月20日までは…。 丙神子1へ…
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