エピローグ.桜花閃々

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春の始まり。 いつもは暗目なこの場所も、空を舞う桃色の花びらによって華やかに彩られている。 「なあ、魂魄。こいつはどこに持って行けばいい?」 ここは冥界。白玉楼。 台所に置いてあった大皿の料理を肩の辺りまであげて見せて、少年は先ほどから忙しそうに走り回る少女にそう言った。 「あ、すいません! それは桜の間でお願いします」 まぶたの上あたりで切りそろえられた銀髪を揺らす少女の名前は魂魄妖夢(コンパクヨウム)。 ここ白玉楼の庭師と言われているが、実際は掃除洗濯料理に雑用、勿論庭師としての仕事もこなしている少女だ。 「桜の間……って、どこだったっけ?」 「あはは……中庭です。幽々子様がそう言っているんです」 「西行寺さんが? ……まぁ、確かに桜がたくさんあるし、綺麗なところだもんな」 妖夢が言った幽々子と言うのは、冥界の管理を任されている西行寺家の現当主、西行寺幽々子(サイギョウジユユコ)のことだ。 ちなみに魂魄家は代々西行寺家に使えているらしく、今の代は妖夢と幽々子。 まぁ、管理と言っても何をしているのかは分からないが。 「博麗も霧雨もよく食うからな、足りるのか?」 「ちょっと不安ですね。何しろ幽々子様がいますし」
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