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「もうー! 初対面の人にいきなり人の秘密ばらさないでよ!」
ワナビがもう一度俺をポカポカと殴る。
先ほどよりは若干力が入っているようだ。
「なるほど、ワナビっていうのはこの男が勝手に呼んでるだけなのね?」
「本当に困ってるんだよー! だからいつか絶対小説家になって自由って呼ばせてやるんだ!」
蝶の問いかけにワナビが勢い良く返事をする。
なるほど、俺のおかげでワナビのやる気が保たれているわけか。
「ふっふっふ。せいぜい感謝するんだな、ワナビ」
「ところで自由、私のことも気軽に蝶って呼んで」
蝶が俺のセリフにかぶせて打消しやがった。
それにしても性悪が服を着ないで歩いているような蝶にしては友好的だな。
「いいの?」
「もちろんよ。この男だけが私を蝶と呼んでいたら末代までの恥になるような噂になりかねないもの」
前言撤回。やはりこいつ性悪だ。
「あ、あははー。ところで今日はなんでこんなところに?もしかしてボクに会いに来てくれたの!?」
ワナビが目を輝かせて言うが、そんなわけあるか。
バカかこいつは。
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