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「ちょ、ちょっと待ってろ」
俺は妹をフルセンにそう言うと、蝶をの手を引っ張って生徒指導室を出た。
「一体どうしたのだ、蝶」
俺がそういうと、蝶は震えながら言った。
「あなたの妹があんな人だとは思ってなかった……」
あんな人、つまり不良ってことだろう。
「確かに髪染めてるし言動も不良そのものだが、あいつにはあいつなりのいいところが」
あったっけな。
「もう帰るわ」
「あ、おい、ちょっと」
「羽原君、私には今後近づかないでください」
そう言って蝶は速足で去ってしまった。
よそよそしい苗字呼び。しかもさん付け。
蝶にそう呼ばれるのは、仲良くなる前以来だ。
後に残された俺には疑問ばかりが残される。
蝶は不良が苦手だったのだろうか。
それにしても怖がり方が尋常ではない。
俺の妹は不良系だが、怖いタイプではないはずだ。
「とりあえず、そろそろ戻らんといかんな」
フルセンも困っているだろう。
俺は生徒指導室に戻った。
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