第2章

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「ちょ、ちょっと待ってろ」 俺は妹をフルセンにそう言うと、蝶をの手を引っ張って生徒指導室を出た。 「一体どうしたのだ、蝶」 俺がそういうと、蝶は震えながら言った。 「あなたの妹があんな人だとは思ってなかった……」 あんな人、つまり不良ってことだろう。 「確かに髪染めてるし言動も不良そのものだが、あいつにはあいつなりのいいところが」 あったっけな。 「もう帰るわ」 「あ、おい、ちょっと」 「羽原君、私には今後近づかないでください」 そう言って蝶は速足で去ってしまった。 よそよそしい苗字呼び。しかもさん付け。 蝶にそう呼ばれるのは、仲良くなる前以来だ。 後に残された俺には疑問ばかりが残される。 蝶は不良が苦手だったのだろうか。 それにしても怖がり方が尋常ではない。 俺の妹は不良系だが、怖いタイプではないはずだ。 「とりあえず、そろそろ戻らんといかんな」 フルセンも困っているだろう。 俺は生徒指導室に戻った。  
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