第2章

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「おっと、いけない、虫歯でもまだものを食う時には役に立つ。だけど貴様はなんの役にすら立たない。迷惑しかかけることができない、いうなれば虫歯以下の虫歯菌だ。いいか、よく聞け、迷惑って言葉は『或りし心が迷う』と書くんだ。人を惑わせる虫歯菌のような髪の毛の色をしたお前にはぴったりの言葉じゃないか。いいか、お前は虫歯菌だ!」 俺が言い切るのと同時に、妹の表情が真っ赤になっていく。怒らせてしまったか。 とりあえず噛まないで言い切ったことを誰かに褒めてもらいたい。 「……っち。しょうがないわね。黒染めすればいいんでしょ」 おや、意外にも納得したようだ。 なんて騙されちゃいけない。 ここで騙されるのは笑わない普通のセールスマンにすらあっけなく商品を買わされてしまうタイプの人間だ。 ここにはフルセンという仮にも生徒指導の教師がいるから引いたふりをしているだけだ。 家に帰れば私刑確実。 面倒だが妹のフォローもしないとな。 「やっとわかってくれたかー、もう帰っていいぞー」 のん気に騙されているフルセン。 「おい、フルセンよ。ちょっと待て」
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