第3章

3/16

53人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
「あーもううっさい! そういえばさっきあんた私を虫歯菌扱いしたわね!」 許さない、という憎しみのこもった視線を投げかけてくる。 さっきの感謝はどこ行った。 「それはあれだ、フルセンを納得させるためにだなぁ……」 「うっさい! もうどっか行け! 近寄るな!」 「か、帰る場所は同じだろうが」 お兄ちゃんと一緒に帰るのが恥ずかしい年頃なのかなぁ、はっはっは。 「いいからもう帰ってくんな! ニート!」 ひどい言われようだ。だがあながち間違った評価ではない。 「元、ニートな。じゃあ俺は本屋でも寄って帰るから」 大体妹と下校なんてどんな羞恥プレイだよ、ふざくんな。 そう言って左に逸れようとしたら、後ろから亜樹が声をかけてきた。 「あ、帰りに漫画買ってきて! となりの○○くんね」 「えええええ!? 帰っていいのかよ!? ていうか意外に可愛いの読むんだなぁ!?」 「うっさい、早くどっかいけ元ニート!」 このままだと道路の縁石すら投げつけられかねない勢いだったので、俺はそくさくと本屋へ向かうことにした。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加