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「妹に本を買ってくるよう頼まれたのだ。隣の何とか君とかいうやつ」
「妹ちゃんいたんだ? ちょっと待ってね」
俺がそういうとワナビは少し考えて、近くの棚から一冊の本を取り出した。
「これなんてどうかな? おすすめだよー」
すでに指定されて頼まれているのにおすすめを渡されても困る。
「だいたいこれは絵本ではないか! なんだこの怪物みたいな少年は」
題名からして増田君というらしいが、平凡な名に似つかわしくない容貌をしておる。
「これは女の子の視点から描かれていてね、ってあれ。妹さんって言うから絵本だと思ったんだけど……違った?」
顔を赤くして上目使いで見てくるワナビ。
店員として失敗が恥ずかしいのだろう。
「違うもなにも俺の妹はお前より大人びているぞ」
外見だけはな。
「うぅ、もっと早くいってよぉ。そもそもなんでちゃんと聞いてこないのさー!」
放課後のようにポカポカと俺を殴るワナビ。
店員が客に暴力を振るっているそ。
なに、のん気に微笑んでるんだレジの店長っぽいやつ。
おいこら、どいつもこいつも仕事しろ仕事。
この前までニートだった俺の言えた義理ではないが。
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