第3章

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「……どしたの? もしかして怒った?」 しばらく黙っていたら、ワナビが恐る恐る聞いてきた。 「そうだ、惚れ薬を作ればいいんだ!!」 「……え? えええええ!?」 俺の宣言に驚愕を示すワナビ。 やはり天才の思考回路は、凡人には理解できないのだろうか。 「ったく、こんな簡単なことだったのかよ。焦って損したぜ」 「ちょ、ちょっと待ってよ!? なんで惚れ薬!? ボクには全然全くこれっぽちも理解不能で意味不明なんだけど!?」 っち、しょうがないな。   相談に乗ってもらった義理もあるし少し説明してやるか。 「だーかーら、蝶がよそよそしいじゃん?」 「う、うん。そうらしいね」 なんだ、ここまで理解できてるなら全部理解しろよ。 「つまり、惚れ薬じゃん」 「えええええ? その過程がさっぱりなんだけど!?」 なんで理解できないかな。そっちの方がさっぱりだぜ。 「もうよい、邪魔したな。仕事にいそしむがいい」 「え、あ、うん。ありがとうございました?」 そう言って俺は店を出た。 よーし、張り切って作るぞ、惚れ薬。
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