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~第一図書室~
「ふむ、ここが図書室か」
「三年生なのに初めて来たかのように振る舞うのね」
蝶がそう言うが、実際ここに来るのは初めてなのだ。
学校の図書室へ行くなら、少し足を延ばして県立図書館まで行った方がいい。
「じゃかましいぞ、女。それよりここにカービーがいるはず……ん?」
「どうしたの? まるで野生のカービーが草むらから飛び出してきたかのような顔をして」
「カービーをどこぞのモンスターのように言うな」
図書室に入ってすぐに、貸し出し用のカウンターがある。
そこには図書委員と思われる女子生徒が座っていた。
セミロングの茶髪に大きな瞳。
可愛らしい風貌に似合わず、何か文庫本のようなものを真剣に読みふけっている。
俺はその少女に見覚えがあった。
「おい、小娘。ここでなにをしている」
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