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銃声が高らかに鳴り響いた。
黒髪の少女が、嬉々とした顔で銃をぶっぱなしたのだ。
「伏せろッ!!」
「言うの遅くね?!」
黒髪少女はワンテンポ遅れた忠告を終えると、続けて二回発砲した。一発は虚しく宙を飛び、もう一発は黒髪少女が標的としていたニット帽を被っている男に命中する。
ニット帽の男は、自分に銃弾が当たるやいないや、全身へ電流を流されたように小刻みに震えて硬直。悲痛に呻くその顔だが、なおも戦闘の意思があるようだ。彼は必死に、その不可思議な電流へ抵抗を試みている。
それを尻目に、ニット帽の男の後ろから、たおやかな少女が出てきた。
その淡い少女は目を細めると、銃を保持している黒髪少女に向かって、両手を開いたまま勢いよく突き出す。
すると今度は、黒髪少女が硬直を強いられた。
見えない何かで、体を束縛されているようだ。その証拠に、服が体に密着。素晴らしいボディラインが、惜しげもなく顕になっている。あまりの窮屈さに、制服の一番上のボタンが飛んだ。
「ハハッ、やるなぁ!!全く動けん!!」
危機的状況でも爛々としている黒髪の少女。最初は抗っていたが、やがて無駄だと気づいたのか、動くのを止めて俺に向かって叫んできた。
「おい!早く逃げたほうがいいぞ!!そろそろ、ニット帽をかぶっている男が動けるようになるからな」
俺はその発言の意味を芯から理解すると、一目散に走り出した。
素早く階段を降り、安全地帯である医務室へと駆ける。その逃走の最中に俺は、こんな状況になった経緯を思い出していた…………。
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