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* * *
数週間後……俺はそこの学校の制服を着て、学園の門の前に立っていた。
受けた試験は、血液や身体の検査、運動能力の査定、そしてIQテスト。正直、IQテストで落ちると思ったが、どうやら受かったらしい。
家族は泣いて喜んでいた。
「ほんとに、俺なんかが通っていいのかよ」
そう言ってしまうのも無理からぬ話で、この学園は山の上にある広大な草原を利用して作られており、一つの都市を形成していた。意外にも、多くの一般人が住んでいて、ビルが立ち並び電車が通り、普段の俺たちと何ら変わりの無い生活が送れる。決定的に違うことと言えば、この学園都市からの出入りが非常に厳しいことくらいだ。俺たち学生がこの都市に入るときなど、目隠しで搬送された。
「よしっ!!」
そう小さく呟き、気合をいれると、俺は門をくぐった。
とりあえず、建物の入口の前に立てかけてあるクラス割の載った看板で、自分のクラスを確認する。しかし同じ新入生であろう群衆により、その看板へ近づけないため全く見えない。
「全然、見えねぇじゃん。これ、人が少なくなるまで待つしかねぇのか?」
「僕が見てあげようか?」
突然の声掛けに少し驚きつつ横を見ると、優しそうな顔の少年が柔らかく微笑んでいた。
「ここから、見えるの?」
「うん」
その少年は嬉しそうに返事をすると、続けて自己紹介を始めた。
「僕の名前は『末島 未来(すえじま みらい)』。君は?」
「俺は『新庄 志人(しんじょう ゆきと)』」
「OK。『新庄 志人』くんね」
そう言うと『末島 未来』は、遥か遠くの看板を見やる。しかし、これだけ離れた所にある文字が本当に見えるのだろうか。
「おい、別に無理しなくても……」
「見えた!君と僕は、同じCクラスだ」
俺のセリフを遮って、楽しそうにそう言った。
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