異端者の中の異端者

5/15
前へ
/15ページ
次へ
  * * *   数週間後……俺はそこの学校の制服を着て、学園の門の前に立っていた。  受けた試験は、血液や身体の検査、運動能力の査定、そしてIQテスト。正直、IQテストで落ちると思ったが、どうやら受かったらしい。  家族は泣いて喜んでいた。 「ほんとに、俺なんかが通っていいのかよ」  そう言ってしまうのも無理からぬ話で、この学園は山の上にある広大な草原を利用して作られており、一つの都市を形成していた。意外にも、多くの一般人が住んでいて、ビルが立ち並び電車が通り、普段の俺たちと何ら変わりの無い生活が送れる。決定的に違うことと言えば、この学園都市からの出入りが非常に厳しいことくらいだ。俺たち学生がこの都市に入るときなど、目隠しで搬送された。 「よしっ!!」  そう小さく呟き、気合をいれると、俺は門をくぐった。  とりあえず、建物の入口の前に立てかけてあるクラス割の載った看板で、自分のクラスを確認する。しかし同じ新入生であろう群衆により、その看板へ近づけないため全く見えない。 「全然、見えねぇじゃん。これ、人が少なくなるまで待つしかねぇのか?」 「僕が見てあげようか?」  突然の声掛けに少し驚きつつ横を見ると、優しそうな顔の少年が柔らかく微笑んでいた。 「ここから、見えるの?」 「うん」  その少年は嬉しそうに返事をすると、続けて自己紹介を始めた。 「僕の名前は『末島 未来(すえじま みらい)』。君は?」 「俺は『新庄 志人(しんじょう ゆきと)』」 「OK。『新庄 志人』くんね」  そう言うと『末島 未来』は、遥か遠くの看板を見やる。しかし、これだけ離れた所にある文字が本当に見えるのだろうか。 「おい、別に無理しなくても……」 「見えた!君と僕は、同じCクラスだ」  俺のセリフを遮って、楽しそうにそう言った。   
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加