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  あてもない旅路だった。 風の吹くままに歩く。 自意識さえなく。 誰かが、何かが示す方へと適当に進む。 それが一番いい選択だと感じたんだ。 線が隣を通り過ぎる。 不快な、生暖かい風が流れた。 鳥肌が立った。 吐き気に襲われる。 涙が流れた。 本当に嫌いなんだ。 線の存在が。 憎くて、恐くて。 でもいいのだ。 僕の命は長くない。 精神は壊れて、体も、もうすぐ死んでしまうだろう。 命の灯火が、尽きるまでの間だけ……。 その間だけなのだ。  
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