欺瞞

2/2
前へ
/17ページ
次へ
けっくだらねぇ! 教師は更衣室に入るなり、ロッカーを蹴飛ばした。 誰もいない狭い空間に衝撃音が響き渡る。 何故、嘘を教えなければならない? 右腕を失ったあの日、あの日に俺は何を誓った? 教師を始めて一年も経たないうちに己に渦巻く疑念。 権力に縛られ、嘘っぱちを堂々と教え、それを純粋無垢な子供達が受け入れる。 何の疑問も持たず。 もし、自分が足掻いたとしても… 何も変わらない。 世界に小さく波を起こしても、やがて波は消える。 頭をかきむしり、考える。 このまま、同じことを繰り返してたまるか。 30歳で消えてたまるか。 しかし、自分はあまりにも非力。 大きな力を持った人が必要…
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加