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「口の効き方がなってね-なぁ、誰に向かって言ってんのか分かってんの?」
地をはうような低い声がクラスの空気を支配した。
この声は生徒会長である三鷹 皇【ミタカ コウ】だということがすぐに分かる。
三鷹は成績・容姿・家柄全てにおいて完璧。この学園の王座に君臨している男だ。
「三鷹様に言ってます。すみません僕の言い方が悪かったですか-?」
少し高めな声が響く。
謝っているのに、全く反省の色がない。それどころか馬鹿にしたような言い方なのは幻聴ではないだろう。
生徒会長の親衛隊長である七海 皐月【ナナミ サツキ】体質なのか彼の周りには人が集まり、彼の意志とは関係なく生徒会長の親衛隊長まで上りあがった。
「てめぇわざとだろ!いいから来いって言ってんだろ。」
「嫌です。無理です。行きたくな、」
いきなり毒付いた言葉が消えたと思ったら…
「ふッ…ン……や、め…ッ」
三鷹がキスして言葉を遮ったらしい。
この光景に慣れを覚える自分にゾッとする。
「んッ……は、みたッ…かぁ」
「…ッ」
痛ぇ-と呟く三鷹の唇から血が出ている。噛まれたんだろう。その血を舐める姿も様になってクラス中を魅了している。
「はっ…はぁ、今授業中だよっ何考えてるの!?」
馬鹿なの?と真っ赤になって涙目の七海が肩で息をしながら睨み上げる。
はい、
彼が言うとおり今は授業中だ。
まぁみんな2人に集中してるけど…あ、先生が涙目だ。
「とか言って、結構いい
声出てたじゃね-か」
見下した笑いをたてる。
キッと七海は睨む目をさらにキツくした。
「まぁここにいても邪魔だし、暇だし、行くぞ」
その言葉が終わるか終わらないかくらいに「わぁっ」と聞こえたかと思うとガラガラとドアが開いて。
「先生、俺ら早退で」
その腕の中で「離せ僕は授業を受けるんだ!」などと喚いてる声なんて三鷹には届いてないんだろう。
「はい、ありがうございます。」
あ、先生本音が出た。
これが俺達2-Sの日常。
あの最悪最強カップルはいつまで授業妨害をしてくれるだろうか。
あ、チャイムがなった。
ーFinー
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