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敬語が簡単に取れ、教長を睨んでいる灰は、やっぱり人の下につく人間ではないなとしみじみ思う。
生徒がざわつく中、聞き覚えのある声が響いた。
「主任、明日のことで馬場先生が確認したいことがあるそうです」
「そ、そうか。今、行く。き、君達、これからは気をつけるように」
その声を救世主だと教長は焦りを隠すことなく、逃げるように駆けていった。
「主任に逆ギレとは…」
「まだキレてねぇよ」
灰の舌打ちがこの場に響く。生徒達は一歩ずつ下がるが、夏くんと数人の位置は変わっていないようだ。
教長にしてみれば救世主かもしれないが、ボクは出来ればあまり会いたくない人物。黒髪と眼鏡の奥の鋭い瞳。生徒の中から出て来たのはやはり五十嵐先生だった。
「少しは自分の行動を考え直したらどうだ」
「あ?てめぇには関係ねぇだろ」
フッと鼻で笑いボク達の目の前までやって来る。後ろが壁の分、威圧感があるようだ。
「沸点が低すぎる。こんな人に付き合わされて如月先生もさぞかし大変だろうな」
灰とは違う圧倒的存在感を当てられ、居心地の悪さを感じる。気を許せる隙がない。
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