scene010

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カチャッ… ボクの後ろで灰が静かに扉を閉める。この部屋もボクの部屋と家具の配置は違うが作りは同じようだ。 薄暗い中、目を凝らして部屋の中を眺めていたら、突然後ろから手をまわされ抱き締められる。 「灰?」 「何であいつが俺らのピアスのこと知ってんだ?」 諭すような声は耳から直接、身体に響いてくるようだ。 「………分かんない」 「分かんないじゃねぇよな?」 耳の外側をなぞられピアスに触れられる。ピクッと肩が跳ねた。 「…触り方が変だよ」 「変じゃねぇよ。はぐらかさないで、答えろ」 耳元で低く囁かれた身体は硬直したように動かない。 「…髪触られた時に見られた」 「それだけで俺に言えなくはならねぇだろ?」 抵抗しようと耳を触る手を退かそうとすると、それはあっさり両手纏めて灰の片手に捕まった。 「言えない?」 優しい声だけど確かに重くのし掛かってくるような圧力がある。 そんな灰にどうしても言葉が出ない。無意味な抵抗だけがボクを動かせた。 「ッ!」 にゅるっとしたのもが耳の中に入ってくる。ヤバいと本能的な思考が働いたボクは全力で灰の手から抜け出し、向きを変えた。 「こうして舐められた?」
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